バイエルのプロフェッショナルたちと製品、そして子供たちの未来

バイエルとサッカーワールドカップ

レバクーゼン、 2014528 サッカーのワールドカップ決勝戦が行われる7月13日に、リオデジャネイロのスタジアム・フィールド上に登場するのは一体どのチームだろうか。アンドレス・グアルダードとメキシコ代表チームとなるかソン・フンミンと韓国代表チームとなるか。ドイツサッカー1部リーグ、バイエル04レバクーゼン所属の二人の選手が決勝戦に登場するかはわからないが、バイエルに所属する他の“スター”が決勝戦だけでなくワールドカップを通じて登場することだけは決まっている。

ワールドカップでフィールドを縦横無尽に動き回って、世界中の何十億人ものサッカーファンの注視を浴びるのは、新しい公式試合球「Brazuca(ブラズーカ)」。スポーツ用品メーカー、アディダス製のカラフルなサッカーボールには、バイエル マテリアルサイエンス特製の合成樹脂が使用されている。

600名以上のプロサッカー選手がこのボールをテストし、大変よい結果が出た。ボールのコントロールと感触がよくなり、しかも、わずか6枚のパネルでボールが構成されているため、旧モデルに比べて安定性と丸さもずっと向上している。

ボールの表面は5層から構成されており、キックした後のボールの復元性、また耐久性と弾力性もさらによくなった。

バイエル マテリアルサイエンスのトマス・ミヒャエリスは、長年にわたりハイテク・サッカーボールの開発に携わって来た。彼の調査開発チームはアディダス社と協力して、毎回UEFA欧州選手権とワールドカップのためにより丸くて滑りにくい、つまり「よいボール」を提供するという試みに取り組んでいる。

ミヒャエリスは「昔、路上で友達とサッカーをしていた頃、ボールは重い革製のものでした。雨に濡れると水を含んでとても重くなり、足のつま先を痛める危険性と常に隣り合わせでした」と振り返っている。ボールの重さに関して、FIFA ワールドカップ公式試合球は420グラム以上445グラム以下という規定がある。天然皮革素材で作られたボールでは、この厳密な要求に応えることができない。革製ボールの場合、型抜きした同じサイズの革を何枚か縫い合わせて製造しても、完成したボールは同じ重さにはならないため、最終的な規格に合うように、大変な手間をかけてボールの選別を行わなければならなかった。

サッカーボールの進化

しかし合成皮革という素材の登場によって、この製造過程に変化が生じた。型抜きした合成皮革はほとんどグラム単位までの精度を出すことができる。もう事前のボール選別作業は必要なくなり、接着剤を使って張り合わせるだけでボールは完成する。サッカーボールの進化を振り返ってミヒャエリスは「これで製造はずっと効率的になりました。合成皮革素材のおかげでボールの吸水率も下がり、しかも足先に負担をかけないという効果もありました」と語っている。

サッカーシューズの軽量化と耐久性の向上は、シュート率向上に少なからず貢献している。バイエル マテリアルサイエンスの素材はシューズにも使用されている。伝説のシューズ、アディダス社の「Samba Copa Mundial (サンバ コパムンディアル)」がその一例だ。既にその製造は30年以上継続しており、今日までに1,000万足以上売れている、サッカー史上最も成功したシューズである。フランツ・ベッケンバウアーやミシェル・プラティニ、そしてカール=ハインツ・ルンメニゲのようなサッカー界の大物たちがこのシューズを愛用してきた。このシューズのために特別に合成樹脂素材を開発したのはバイエルの研究者である。

サッカーの選手とファンの双方に貢献するバイエルの素材

プロのサッカー選手たちが身につけているバイエルの合成樹脂素材はシューズだけではない。多くの選手が着用している特殊なスポーツ用アンダーウェアは加圧機能があり、第二の皮膚のように感じられる。シャツとショーツは身体にぴったりと合い、選手は着ていることをほとんど感じない。

その秘密はこのアンダーウェアに内蔵された伸縮素材のバンドで、これにはバイエルの特別なコーティングが施されており、選手の姿勢を改善し早期疲労を防ぐ。バンドが伸びたときに、この素材は一時的にエネルギーを蓄え、選手が動き続けると、そのエネルギーを選手に戻し、強さとスタミナを向上させる。それと同時に、伸縮作用が運動能力発揮に悪影響を与える不要な筋肉の振動を防ぐ役割も果たしている。

バイエルのイノベーションは選手だけでなく、ワールドカップの観客にも役立っている。ブラジリアのスタジアムの耐久性のある透明な屋根にはバイエルの「マクロロン」合成樹脂が使われている。また、凹凸模様がついた床材は、目の不自由な観客が安全にスタジアムに入場し、中を歩き回ったりできるように配慮されている。

サッカーが開く子どもたちの未来

バイエルとサッカーの関係はナショナルサッカーリーグやベストセラー製品の製造ということにとどまらない。特にブラジルではその先を歩んでいる。

ブラジル東海岸のリオデジャネイロといえば、ポン・ジ・アスーカル、コルコバードのキリスト像、美しい砂浜、リオのカーニバルというイメージが思い浮かぶが、リオの中心部から30キロほど離れたところにベルフォード ロクソという町がある。人口50万人のこの町には、南米最大のバイエルの製造拠点がある。しかしこの街は都会の風景とはまた別の表情を持っている。ファベーラ、つまりスラムである。

バイエルは今までもこの地域を支援するために多くの活動をしてきた。例えば健康意識を高める教育や、栄養状態の改善を支援するプログラムである。そして子どもたちをスラムから出して、将来への夢を与えるという、特別な取り組みも行われている。そのためにバイエルはバイエル・サッカーアカデミーを設立し、1993年以来、サッカーを通じて若者を集めてきた。サッカーアカデミーの厳格な規定によって普通学校の授業にきちんと出席することがこのプログラムに参加する条件である。

バイエル・サッカーアカデミーの主な目的は、若者たちに将来の人生の準備をさせることである。このプログラムに参加している若者の一人、グィエルメ・ピンヘイロ・サントス(17歳)は、ベルフォード ロクソ出身のブラジル人である。彼はドイツを訪問した時に、バイエル04チームの「プロフェッショナルたち」と出会う機会があった。一人はサッカーの象徴ともいえるルディ・フェラー選手、そしてもう一人はドイツ・バイエル社のマライン・デッカーズ社長である。二人ともサッカーを愛している。デッカーズとサントスはレバクーゼンのバイエルグループ本社ビルのロビーで、ジャグリング、パス、トリックやヘディングに熱中する姿を見せた。この珍しい対戦が行われた理由は「ブラズーカ」にある。レバクーゼンとドルマーゲンの地でサントスは、バイエルがこの最新のサッカーボール開発にいかに貢献したのかを直接学ぶことができた。研究所、技術開発施設、生産工場の見学やバイエル本社での出会いなど、サントスにとって今回は多くの発見のある旅となった。